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社長メッセージ

“差”ではなく“違い”で売る

私たちは日々、「どうすれば選ばれる店になるか」を考えながら働いています。その中でつい、「もっと安ければ」「もっと美味しければ」「もっと早ければ」と、他店との“差”を意識してしまいがちです。確かに価格や味、スピードは大切ですが、現実には安くて美味しい店、提供が早い店は世の中に無数にあります。その中で、お客様がわざわざ“この店”を選び、足を運ぶ理由は何でしょうか。

ある店で、特別に高級な料理を出しているわけではないのに、毎週のように通ってくださる常連さんがいます。この方は「名前を覚えてくれて、前に話したことを覚えてくれるから」「ここに来ると、気持ちが落ち着くから」と言います。これは“差”ではなく、完全に“違い”です。“差”は数字で表せます。値段、量、提供時間、効率ですが“差”での勝負は、必ずどこかで限界が来ます。誰かが真似をし、もっと安く、もっと早くを繰り返す。結果、お店が疲弊してしまいます。

一方で“違い”は比べるものではありません。良い・悪いではなく、自分に合うかどうか。たとえば、・忙しい中でも必ず目を見て挨拶してくれる・おすすめを聞くと、自分の言葉で説明してくれる・帰り際に「お気をつけて」と一言添えてくれるこうした行動は、他店と比べることができない価値です。

オーダーミスをしてしまった際、ただ謝るだけでなく、「こちらの確認不足です。ご不快な思いをさせてすみません」「お時間をいただいた分、ゆっくりしていってください」と声をかけたスタッフがいました。今ではそのお客様は、「あの対応が嬉しくて通っています」と常連になっているそうです。失敗を“違い”に変えた瞬間と言えます。お客様は、料理そのものだけを食べに来ているわけではありません。その店で過ごす時間、空気、そこで感じた気持ちを含めて“体験”を味わっています。そして人は「何を食べたか」よりも「どう感じたか」が、より強く記憶に残るものです。私たちが何気なくしている行動、笑顔、声のトーン、ちょっとした気遣い、それらはマニュアルには書けない、真似できない価値です。特別なスキルがなくても、目の前のお客様一人ひとりに、誠実に向き合うこと。その集合体がお店の“違い”になります。

「自分たちにしかできないことは何か」を考えること。正解を探すより、自分の言葉で想いを伝えること。その積み重ねが、「また来たい店」をつくります。“違い”を大切にすれば、店は自然と選ばれます。そしてその“違い”をつくっていくのは、皆さん一人ひとりの力の結集です。

2026年1月15日太田 秀和

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