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お知らせ

社長メッセージ

もう一歩先の付加価値

兵庫県姫路市に渡辺金属工業という会社があります。この会社は日本唯一のバケツ専門メーカーで、過去2度にわたる倒産のピンチから復活した企業なのです。1度目は年間売上250万円で大赤字、2度目は売上25%減少の急な下落となり、2度の倒産寸前に追い込まれたのですが、そのたびに今までにない商品を作って見事に復活した経歴を持つ企業なのです。

渡辺金属工業は「バケツ」の製造会社で、主に水を入れるためのバケツを製造していました。時代の流れと共に100円でも買えるバケツが登場し競争が激化。売上は、どんどん減少していき、やがて大赤字に苦しみます。

起死回生のアイデア商品として「オバケツ」を発表。これは、今までのバケツの概念を変えた“おしゃれなバケツ”としてインテリアなど様々な用途で使われ、観葉植物も飾れるというおしゃれで画期的なバケツです。この「オバケツ」ご存知の方も多いのではないでしょうか?これが大ヒットした結果、売上はなんと2億円を超え、その後、急成長していきました。

しかし、ここで問題が発生します。オバケツの類似商品が増え、売上が5000万円も減少する事態に追い込まれました。お客様からこんな感想をもらいます。このバケツはどんな用途に使えるかわからないから買おうと思わない、と。お客様自身が用途を考えて購入してもらうのには無理があった商品でした。

そこで、バケツの種類を増やすことにして12種類のバケツを販売しました。その種類は「ライスストッカー」「野菜ストッカー」「足湯バケツ」「米びつ」「おむつ消臭ペール」「傘立て」「クッション付きスツール」「灰皿」「蚊取りバケツ」など、用途別に種類を増やしました。それらのバケツには創意工夫が欠かせません。たとえば、ライスストッカーは、防虫剤置きのスペースをつくりキャスターもつける。野菜ストッカーは、空気穴を施す工夫を。足湯バケツはヒノキ製で香りや雰囲気にこだわる等。これらの工夫の結果、売上が回復していったのです。

この会社が1種類のバケツだけに絞り込む方法を取っていたなら、それはやがて飽きられ、売上が伸びることはなかったでしょう。12種類のバケツを作るというアイデア、それはほんの小さな「気づきと差別化」なのです。この「小さな工夫と違い」の積み重ねで、日本一有名なバケツメーカーになれたのです。

日々の仕事の中に見過ごしているヒントがたくさんあるはずです。

「“考えること”を止めない努力と工夫」がが大切だと私は思います。

2025年3月14日太田 秀和

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