自己を高める最強の“2way”
未だコロナの感染者が増え続ける中、冬季北京オリンピックは少しだけ、そんな閉塞感を忘れさせてくれます。連日、目にするアスリート達の活躍からは、並々ならぬ努力や練習量が伺え、見ていて感極まるものばかりです。
その中で、フリースタイル男子モーグルでの堀島行真選手にフォーカスしてみます。競技結果は見事に銅メダル獲得!金も狙えただけに惜しくもありましたが、同等の実力のあるとても素晴らしい選手です。彼は何度も富山に来ており、インタビュー映像からも彼の人柄の良さが伝わってきます。見たままの、とても謙虚で素直な人間なのです。いつも物腰が柔らかく、しっかりと周囲の助言に耳を傾けながら、自分に自信をつけ、そして自らの力で殻を破っていき、1つずつ階段を登って行くという、根っからの努力家なのです。彼にコーチとして指導をお願いし、富山に来てもらった時のことです。午前中の指導を終え、みんなは昼休憩の時間。もちろん彼も休憩時間なのですが、その時間、ひたすら自分自身の練習として時間がくるまで何度も滑っていました。そして昼休憩を終えたみんなが集まると午後の指導へと…。彼はこの1日の中で①コーチすることにより人に教えて自分も学ぶ②技術向上のための自己練習、の2つを行っているのです。これも彼にしてみれば「2way」。ただ、彼はこれが普通の日常的な行動なのであって、毎日が3way、4wayの積み重ねのようです。特筆すべきは、彼の1way1つ1つの内容がとても“濃い”ということ。堀島選手の場合は「練習しました」「取り入れました」という次元ではなく、例えば、体重移動の感覚をつかむために練習に取り入れていたというフィギュアスケートでは、側転したり、ジャンプを跳んだり、片足上げてスケーティングしたり……最終的にはショートプログラムの振り付けをマスターして滑っていたようで、ここまでやるか?というくらいに取り組み、その姿勢が本当にストイックなのです。またもう一人、スノーボード男子ハーフパイプで見事な滑りで金メダルを獲得した平野歩夢選手。昨夏の東京オリンピックでのスケートボード出場もご存じの通り。彼も並々ならぬ努力家で想像を絶する練習量の賜物だそう、これぞまさしく「2刀流=2way」の極みです。
近代オリンピックの父と呼ばれるピエール・ド・クーベルタンは「人生にとって大切なことは成功することではなく“努力すること”」とオリンピックの精神を説いています。これは私たちにも同じで何事も一歩一歩重ねることしかありません。私は、努力とは=「諦めないこと」でもあるのだと思います。自己を高める2wayとは何か?を見つけ、日常的に取り入れていきましょう。
2022年2月15日太田 秀和