ごみ拾いは運拾い
大谷選手が花巻東高校時代に学んだ「ゴミ拾いは運拾い」という教えがあります。大谷選手がエンゼルスにいた頃に「グラウンドに落ちたゴミを拾う行動」が話題になりテレビで観た方も多いと思います。落ちているごみを見つけるとスッと腰をかがめて拾い、自分のポケットに入れる。この行動はとてもスマートで美しく見えました。当時、マスコミからの質問に対し「僕は人が捨てた“運”を拾っているだけです」と答えています。大谷選手の母校・花巻東高校では、「ゴミ拾いは運拾い」という教えが伝統のようになっていて、野球部でもグラウンドの小石やゴミを拾ったりダッグアウトをきれいに掃除したりするのがごく当たり前の習慣になっていたといいます。恩師・佐々木洋監督は「ゴミは人が落とした運。ゴミを拾うことで運を拾うのだ。そして自分自身にツキを呼ぶ。そういう発想をしなさい」と言っていたそうです。常日頃からちょっとしたことをおろそかにしない習慣が身についていたのだからゴミを拾うのは彼にとって当然のこと。ゴミを拾ったり掃除や片づけをしたりすることで自分の運が良くなり、自分自身のルーティンとして確立されているということです。その運によって、最高のパフォーマンスを発揮できることにつながっているのでしょう。
さらに、ゴミを拾う行動を積み重ねることで「心の余裕」が表れてくるものです。球場の隅々まで落ちたゴミに目が行き届く大谷選手には、相当な心の余裕が備わっているのだと思います。「ゴミを拾う」という行為そのものも大切である一方で、「ゴミを拾えるだけの心の余裕」も、彼の強さのひとつなのではないかと考えます。大谷選手が試合中にゴミを拾うということは「ゴミが見えているということ」であり、これは「ゴミが見えるほど周りをよく見ているということ」なのです。私は、ここがとても重要なポイントだと思います。心の余裕を持つことはアスリートだけでなく、私たちの日常的にもとても大切なことであり必要なことです。
ちなみに、逆の視点で見た場合、ごみを捨てる行動は心理学的に見ると「良心を捨てる行為」と捉えられます。ごみを捨てる行動がわざとでは無いにしても、ごみを捨てる、ごみを落としてしまう行動は運気を捨てていることになるのです。
大谷選手やイチロー選手をはじめ、一流と呼ばれる人は行動のルーティンや自分自身のルールを持っているものです。これは集中力を高めると同時に自律神経を整えることにつながります。もっとも継続する、継続できることが大切なのです。
2025年頭にあたり、「運拾い」を考えてみました。まずは目下のごみやごみ箱、汚れなどに目を配り、良い運を重ねていきましょう!
2025年1月15日太田 秀和