お店は生きている
今から20年ほど前、「お店は生きている」というテーマで文章を書きました。久しぶりにその文章を読み返してみると、今でも変わらず大切だと思えることがたくさんありました。時代は変わり、お客様の価値観も働き方も大きく変化しましたが、お店づくりの本質は今も昔も変わらないと感じています。
私は昔から、お店は人の生涯とよく似ていると思っています。お店がオープンすることは人が生まれることと同じで、その後、毎日の営業を通じて成長していきます。調子の良い日もあれば、思うようにいかない日もあります。だからこそ「お店は生きている」と考えています。そして、生きている以上、お店にも栄養が必要です。その栄養とは、高価な設備や立派な建物のことではなく、そこで働く皆さん一人ひとりの笑顔や元気な挨拶、仲間への思いやり、お客様への気配り、そして日々の小さな努力の積み重ねです。皆さんの行動一つひとつがお店を元気にし、お店を成長させる力になっています。お客様は、私たちが思う以上にそのお店の空気を感じ取っているものです。お店に活気があり、スタッフが楽しそうに働いているところには自然と人が集まります。反対に、暗く元気のないお店には足が向かないものです。お客様は料理やサービスだけでなく、そのお店全体の空気感・雰囲気を見ているのです。売上が伸びないときやお客様が少ないとき、私たちは世の中の景気やお店の立地、競合店など外部の要因に目を向けがちです。もちろん影響はあります。しかし、その前に「今、自店舗は元気だろうか」と自分たちを振り返ることも大切です。笑顔は足りているだろうか。明るく挨拶はできているだろうか。仲間同士で良い声掛けができているだろうか。こうした一つひとつの積み重ねが、お店の空気をつくり、お客様に直に伝わっていきます。
いろいろなモノに溢れている今の時代、商品やサービスだけでは大きな差がつきにくくなります。故に、お店の雰囲気やそこで働く人たちの姿勢が、これまで以上に大切になります。お客様が「また来たい」と思うお店には、必ず温かさや活気があります。そして、その活気は特別な誰かがつくるものではなく、働く全員でつくるものです。一人ひとりが前向きな言葉を使い、仲間を大切にし、お客様を笑顔でお迎えする。その積み重ねがお店を元気にし、お客様から選ばれる理由になっていくはずです。一緒により良いお店を育てていきましょう。
今年も暑くなりそうです。お互いに注意し合うこともお店の空気感につながります。体調管理には十分気を付けていきましょう。2026年6月15日太田 秀和