「嫌い」が変えるチャンス!
元陸上選手の為末大氏が意外なことを話していました。「現代のスポーツはスポーツ好きも多く生みましたが、スポーツ嫌いの方もたくさん生んできました」。スポーツは、心身の健康を増進したり、技を見て感動を生んだり、プラス面が多いように思います。反面、スポーツがもともと苦手な人やミスをしたりして劣等感を受けるなどの嫌な体験をした人もいます。そう言う人達を遠ざけてしまっていることも事実として存在するのです。スポーツに限ったことではなく、「楽しいのが当たり前」と支配的な価値観が強まりすぎると逆に「アンチ」を生むという…との内容でした。
他方、お酒を考えてみると「飲みニュケーション」として成長してきたアルコール市場では、ノンアルコール、微アルコール派が増えてきました。コロナの影響で飲酒の場が減り、お酒、あるいはお酒でつながる文化に嫌気がさしていた層を中心にアンチ市場が広がったとされています。酒類メーカーもノンアルコール系飲料の開発で嫌われない努力に余念がないといいます。
もう一方、ファッション界でもユニクロの登場で、シンプルで誰でも簡単にコーディネートできる、他人との差を考えなくて済むという思考が広がりました。ファッションに興味がなかった層を取り込み、ユニクロの成長は多くの「ファッション思考嫌い」を捉えたということが言えます。
また、食品ではキューピーが「高カロリーを嫌う顧客」を想定し、カロリーハーフタイプを約30年も前に発売しました。当時、社内でも「マヨネーズを否定することにならないか」と反対の意見も多かったそうですが、今は全体の約30%がカロリーカット型でアンチ派をうまく取り込んだという成功事例です。
飲食業界においてもこのようなケースは多々あります。回転寿司にしても昔は“不味い寿司”の代名詞でもありました。それが今やどの店も大盛況です。ファーストフードにしても同様。昔は高カロリーで体に悪い…とされていた時代もありました。今や寿司にしてもハンバーガーにしても、コロナ禍で一番伸びている業態です。
記事の最後にはこう書かれていました。「もちろんユニクロなど今の強者も環境対応などで手間取ると、一気に“嫌い”を増やしてしまう。嫌いをつかむか、嫌われることを未然に防ぐか。押しつけより、自己否定を辞さないアンチへの先回りこそが消費ビジネスを制する。」と。
今、「嫌い」や「否定」されているものであっても、斬新な発想力でチャンスに変えることができるものが必ずあるはずです。
一番怖いのは、現状に満足している「固定概念」です。常に頭を柔らかくし、現状否定から始めていきましょう!
梅雨時期、気持ちまで滅入ることなく頑張っていきましょう!
2022年6月15日太田 秀和