1. HOME
  2. お知らせ
  3. 見極める力

NEWS

お知らせ

社長メッセージ

見極める力

中国の古書の筆頭書に「易経」があります。その中で書かれている「時」「兆し」「時中」という大切な3原則があります。

まず、「時」は、「状況」や「段階」を意味します。人生には順調な時ばかりではなく、坂道を転げ落ちる時もあれば、どん底で苦しみを味わう時もあります。さらに、時の変化には、変易(へんえき)・不易(ふえき)・易簡(いかん)という三つの法則があります。第一法則「変易」は“変化”の意味で「この世のすべての物事、人も物も自然も、一瞬たりとも同じ時はなく、常に変化し続けている」ということです。第二法則「不易」は“変わらない”という意味です。すべての物事は変化しますが、その変化の仕方には一定の不変の法則があります。たとえば、季節は移り変わっていきますが、冬が過ぎれば必ず春が来る、ということは変わりません。第三法則「易簡」は、「やさしくて簡単」という意味です。「変易」「不易」の法則が理解できていれば、何事も簡単にわかるようになり、悩みや問題も解決しやすくなる、ということです。人生に置き換えると、早くこの環境や苦しい状況から逃れたいと焦っても仕方がないということです。 冬はしっかりと準備を整え、春という「時」が来てから行動を起こす。 それが一番の近道、最善の道であると『易経』は教えてくれています。

次に、「兆し」とは、まだ目には見えないけれど、物事のゆくえを暗示するもの。目に見えない「兆し」をとらえるには「観る目」、「観る力」を養わなくてはなりません。「観る力」とは「見抜く力」、物事の本質を見極める洞察力です。たとえば、冬至を過ぎても寒さは続き、気温だけを見ていると春の兆しは実感できません。しかしながら、日脚は着実に伸びて春へと近づいています。この季節の変化の本質を見極めるのが「観る力」なのです。すべてにおいて、はっきりとした現象になる前に発せられる「兆し」を観る目を養うことが大切なのです。

最後の「時中」とは、「時に中(あた)る」「その時にぴったり」という意味です。『易経』の教えは、時を読み、兆しを察して、その時にぴったり合った行動、「時中」に沿った行動をとれば、人生における多くの問題が解決し、幸せになるというものです。兆しを観る目を養えば、ツキがあるとか無いに係わらず、その時にぴったりの行いができる。どんな時でも、どんな状況でも必ず「時中」がある。大切なのはそれを「見極める力」であること。これは今から二千五百年前から続く『易経』の根幹なのです。

今年もあと僅か。来年こそ、コロナ後の新たな幕開けの兆しを掴んで、頑張っていきましょう!
2022年12月15日太田 秀和

最新記事