２０２３年、世の中が大きく変わりそうな感じです。我々も今年の干支うさぎの如く跳ねる年にしたいと考えます。みなさん今年もよろしくお願いいたします。

２０２３テーマは『価値を伝える』です。そもそも価値とは何でしょうか？例題で考えてみます。
例題１（A）普通に暮らす私たちにとって、コップ１杯の水は“いつでも飲める普通なもの”です。（B）砂漠を旅する人にとっては、コップ１杯の水は“その１滴でさえ、とても貴重なもの”です。
例題２（A）少年が普段練習で使っている野球ボールは“どこでも買える普通のもの”です。（B）その野球ボールに、メジャーリーグの大谷選手がサインをしてくれました。そのボールは“生涯にわたり貴重な宝物”です。このように、たとえ同じものであっても環境の違いによって、そのものの状態に特別なものが加わることによって与える“価値”は大きく変わるということをまず押さえておきましょう。

では、私たち飲食店においてはどうでしょう？
例題３（A）日本にあるマクドナルドは“いつでも行ける普通のお店”です。（B）韓国にあるマクドナルドにBTSがやってきました。そのお店は“ファンであれば日本からでも駆けつけたい特別なお店であり「聖地」“となります。すでにこれは、マクドナルドのハンバーガーが食べたい…という話では無くなっています。そういう次元を超えた”絶対に行きたいお店“となるのです。では、もっと現実的なことを考えてきましょう。
例題４（A）感情無く単に注いで提供した500円の生ビールはよくある普通の飲食店。(B)「グラスの洗浄にこだわり、泡にこだわり、最高に美味しいビールを！」と心を込めて注いだ同じく500円の生ビールは“他とは違う、美味しい生ビールを出してくれる行きたいお店！”と評判になり別格な飲食店に位置付けられます。

ただし、ここで重要なことは、ビールはどこで出しても同じ…と思っている人には、この本質に気づくことが出来ない、ということです。

このように「価値」とは、自らが考え、新しい何か？を見出すことによって『生み出す』ものであり、その“差”に気づく人にとっては貴重なものとなるのです。

また、こうして築き上げられた「価値」は人に伝えたくなるもの、または自然に伝わるものです。テーマは『価値を伝える』ですが、これは最終結果であって、取り組むべきことは「お店の価値は何か？を創造し築く」ことになります。これは飲食であれば、そのお店でなければならない唯一無二の「食べたい理由」「足を運ぶ理由」「行きたくなる理由」を築くということになるのです。

さらに厳しい時代です。生き残りをかけて取り組んで行きましょう！

2023年1月15日太田 秀和