東京でｲﾀﾘｱﾝ酒場に行ったときのこと。18時頃、ふらっと入ったそのお店。出迎えてくれたのは、とても感じの良い20代の女性スタッフでした。「生憎本日は予約でいっぱいで･･･。20時予約のお席があるので短い時間ですがよろしければ･･･」と丁寧な対応。長居するつもりは無かったので入店することにしました。店内には30人程のお客様が滞在し、ホールは彼女１人だけ。私は生ビールを注文。1分後、とても感じの良い笑顔で運んでくれました。ホール１人で大変じゃないかな？と思って観察していたのですが、彼女の表情は至って穏やか。むしろ余裕さえあります。そして私がドリンクを飲み終えた瞬間を彼女は見過ごさなかったのです。すかさず「追加いかがですか？」と笑顔で。たまたま見てたのかな？と思い、次は彼女を試してみることに。彼女が別のテーブルで追加オーダーを沢山取っていて忙しそうな時に私は2杯目の生ビールを無理やり飲みほしました。オーダーを取り終え背中を向けていたはずの彼女がくるっと私の方を向き、笑顔で近づいて「お飲み物(は)？」とドリンクメニューまで持ってきて差し出してくるのです。私は「こりゃ負けた！」と。繰り返しますが店内は30人程のお客様で満席です。１人での接客がとても大変なことは一目瞭然です。もう彼女の動きに夢中になって観察していました。

分析するにまず、彼女のお客様に対する“観察の意識レベルが抜群に高い！”目先の作業に全く流されることなく、常にお客様の今の状態を把握している。体中でお客様を感じ取ることが出来るのでしょう。だから背中を向けていても分かるのです。でも、何も大げさな超人的なことではありません。これは毎日訓練すれば誰でも出来る能力なのです。物多く語らない彼女でしたが、柔らかくてとても丁寧な表情を持っていました。お店全体に“良い空気感”を作り出していたのです。そんな彼女は誰の眼にも素敵に輝いて写り、そして仕事をとても楽しんでいました。きっとお客様が好きなのでしょう。まるで天使のような彼女に思わず憧れてしまいました。

素直にまた行きたい！と思った私。彼女は勿論、そのお店の虜になり常連になりそうです。　　とても大切な事を学びました。今、来て頂いている目の前のお客様に

「お客様を好きになる！」＝「お客様を見続ける観察力を高める」こと。これは自分自身の意識(心掛け)次第で今日から出来る最高の仕事だと改めて気付きました。

お客様に「また来たい！」と思わせる人になろう！

ひとりひとりの意識で仕事を楽しんで行こう！　　　

2011年6月15日 太田 秀和