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社長メッセージ

おばあちゃんの雑巾!

今日は誰にも話したことのない私のおばあちゃんとの想い出話を書いてみます。

あれはたしか、私が小学4年生の頃の出来事です。ある日、学校の大掃除をするので雑巾を1人2枚ずつ持って行かなければいけませんでした。当時、学校から帰ってくると母親はまだ仕事から帰っておらず、近所に住んでいたおばあちゃんが家で迎えてくれていました。家に帰るなり私はおばあちゃんに「明日、雑巾を2枚持ってきなさいって言われた!」と、そう言い残して外へ遊びに行ってしまいました。子供はのん気なものです。外で思いっきり遊んで、家に帰ってきたころには雑巾のことはすっかり忘れていたのでした。

翌朝、登校前におばあちゃんが家にやってきました。やさしく穏やかな表情で「ほら!雑巾だよ。」「持って行かれ!」と、雑巾を2枚手渡してくれました。ところがその雑巾、白と黒の市松模様で見た目がすごく昔っぽくて地味・・・。生地は古臭い感じの布の“てぬぐい”を縫って仕上げたものでした。それを手にした私は子供心に恥ずかしさが増し、おばあちゃんにありがとうも言わず「こんな雑巾持っていくの嫌だ!」と・・・。最終的には母親に叱られ、渋々学校に持って行ったのです。

女性の担任の先生が「皆さん!雑巾集めるので持ってきてください!」と。教室を見渡せば明らかにみんな白い小奇麗な雑巾ばかり・・・。私の手元には白と黒の雑巾。もはや古臭い真っ黒な雑巾にさえも思えて・・・、一人でどんどん恥ずかしさMAX!!!私は誰にも気付かれずにこの局面を乗り切りたい。そう思い、そーっと雑巾を先生に渡し、何事もなくスルーしようとしました。ところが先生に「太田くん!」と呼び止められ、クラス全員注目の眼差し・・・。先生「なんて素敵な雑巾なのー?」と驚きの声。「市松模様がとっても素敵!」「そして縫い方がしっかりしているからこの雑巾とても丈夫よ!」先生は雑巾を縦横に引っ張って丈夫さ具合をみんなに見せたのでした。クラスの女の子たちから「ステキ!いいなぁ~」と絶賛の声。当の本人の私は「・・・。」え?そうなの?この雑巾ってそんなに素敵なんだ。急に嬉しくなり「おばあちゃんに作ってもらいました!」と自慢げに大声を出し、先生は「まあ!ステキなおばあちゃんね!」と褒めてくれました。子供心にも最初、嫌だと思った自分が情けなく残念に思えてなりませんでした。

その年の秋、おばあちゃんは他界しました。大好きな孫のために縫ってくれた愛情のこもった雑巾。今になってようやく感謝です。「おばあちゃん、ごめんね。」「あの雑巾、もう一回縫ってほしいなぁ・・・。」今、そんな気持ちで毎月お墓参りしています。私とおばあちゃんのステキな想い出です。

2017年7月14日 太田 秀和

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