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社長メッセージ

心に移り込む香り!

お盆にお坊さんからこんな話を聞きました。あるお宅で20代の若いお母さんと4歳くらいの幼い子供が一緒にお参りしようとしていた時のことです。お供え物のお菓子箱をお子さんが見つけ「食べたい食べたい」とお母さんにせがんでいました。そのお母さんは「おじいちゃんとおばあちゃんに差し上げてから頂きましょうね。」とお子さんに話してお参りが済むまで我慢するように教育したそうです。そしてお子さんはお経が終わるまで小さな手を合わせて静かに坐っていたとのことです。

その若いお母さんの何気ないその一言にこそ、家庭の教育にの姿が映し出されているのでしょう。つまり、意識して教育するのではなく、その家庭に漂う雰囲気がそこに存在する人たちのものの感じ方から行動までを微妙に左右することになるのだと思います。

これを仏教では「薰習(くんじゅう)」と言います。これはお香を焚く部屋にずっといると、その香りが衣服に沁みつくように、「優れた人の傍にいるだけで知らず知らずのうちに教えが入って身につくこと」を言っています。もともとは平安時代の貴族たちが、衣服に香を焚き込めその香りが沁み込んでいき、香はなくなっても沁み込んだ香気はいつまでも衣服に宿っている。これを薰習と言うとの教えを説いたことに始まります。現代においては「衣類に香を焚き込めたように、人の精神や行い、そして経験がしっとりと心の奥底まで浸透していくこと」を言います。親から子へ、子から孫へ、先輩から後輩へ、上司から部下へ薰習されて守り育つものです。私たち大人の日々の行いやありようがどんなに大切なことかを思わずにはいられません。

ちょっと古いですが石川さゆりさんの歌で有名な「天城越え」は皆さん知ってますか?出だしの歌詞がとても素晴らしいのです。

『♪隠し切れない 移り香が いつしか あなたに しみついた♪』

歌詞に「薰習」が読まれています。意味が分かるとその歌が好きになってきます。これはなかなか深い想いの歌ですね。まさに名曲です。

実は、明日ダイニングにもみんなの気付かない薰習が沁み付いていると私は感じています。それは創業以来、長年かけて築いてきた風土なのかもしれません。決して表に出ることのない企業DNAを守り広めていくことが私の使命と感じています。

朝晩、肌寒くなってきました。秋の夜長を鳴き通す鈴虫の鳴き声は案外、心地良いものです。この情景は子供の頃から変わっていません。変わらないものを感じる時、人は心が癒されるものです。

2017年9月15日 太田 秀和

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