“続!10年の厚みと財産”
10年前の9月、私と清水常務は静岡県御殿場市にあるアウトレットモール内の紅虎餃子房で働いていました。ファボーレOPENの1ヶ月前のことです。そこはすごく忙しいお店で毎日500人の来店がある超繁盛店でした。11時の開店と同時に即満席。外は長蛇の行列。そのお店の店長は誰よりも大きな声で挨拶をし、的確な作業指示を出し活気に溢れていました。料理長はおっとりしていながらも確実に仕事をこなし、中華鍋は中国人コックが瞬く間に料理を作り、餃子は背が高くてがっしりした黒人のスタッフ、これがまた上手に餃子を焼いていました。私と清水常務は料理には自信があったけど、初めて触る中華包丁や中華鍋がとても重くなかなか慣れず・・・、中華の専門用語が何一つ分からず・・・、初歩的な知識が全く無いままこの中華料理世界に飛び込んでいました。そんなことに呆気にとられている暇もなく、朝から大量の仕込み。野菜は切っても切っても終わることなく、肉の仕込みも同時進行。何をやっているのか全くわからないまま時間に追われ、そして餃子は黒人のイケメン君から教わり、炒飯は陽気な陳さんからこれまた全くもって適当に教わり・・・、一瞬の息つく暇もなく働いていたのです。仕事が終わり宿に帰って反省会。いつの間にかビールを片手に爆睡している清水常務・・・。でも、充実した毎日でした。その1ヶ月後にはファボーレで連日500人来店となる紅虎餃子房の営業をしている訳ですから、今、考えてもビックリな話です・・・。OPEN後は休憩もなく、休みなんて考えたこともそんなヒマもなく、とにかく“良いお店を作ろう”“美味しい料理を出そう”と必死でした。失敗すれば仕事と信用が無くなる訳ですからね。残るのは多額の借金のみ。一歩も後が無い状態でした。人間、こういう状況に追い込まれると本当に強いものです。「必ずやる!」と言う信念が強固なものになっていました。それは、私が32才、清水常務が26才の時でした。
そして10年経った今、柴田店長・黄料理長を中心に紅虎餃子房はまた躍進を遂げ始めています。全員一丸となり更に向上させてくれるでしょう!期待しています。
これからの明日ダイニングにとって一番必要なことは“守りながら変える”です。
① 「守るべきことはしっかり守り伝えていく(味・品質・価値・伝統など)」
② 「変えるべきものは迷わず変える・改革する(仕事のやり方・サービスの仕方など)」
現状に満足している人はダメです。自分を変えてこそ“成長”なのです。
めっきり寒くなってきました。体調管理は万全に!
2010年11月15日 太田 秀和